くまに追いつくblog

ぐいっと一日、2話ブログ

【書評】「ラッシュライフ」伊坂幸太郎

この物語とあの物語が綺麗に被さっていく。心地よい。

気持ちいいほど物語がつながっている。

これでこの小説を読むのは3回目。

3回目ともなると飛ばして普通は、

ドックイヤーしている気に入った文章だけを読むのだけれど、

この本では違った。

いくつもの連携している物語が気になってつい結局、

全部の物語を見てしまった。

どんな人にだって逆転と意地がある。フィクションです。

ひとつのキーワードは宝くじ。

もうひとつのキーワードは拳銃。

逆転と意地と、手にするのは誰か。

現実はこうはうまくいかないかもしれないけれど、

多くの人がこの小説を読んで、正しくも弱い立場の人が

救われるように信じれば、現実の世界もそうなるのではと

思う。著者も少しそれに期待して書いていると思う。

僕もそうなればいいなと思っている。

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人生、くまに追いつく。

 

ラッシュライフ (新潮文庫)

ラッシュライフ (新潮文庫)

 

 

新年は油断するとろくなことがないから注意しなさいの件

新年、気持ちを新たに、ほど胡散臭いものはないです。

気持ちを変えたって環境が変わらなければすぐ戻ってしまいますよ。

毎朝4時に起きるって決意して、目覚まし時計が8時セットのままだったら

起きれませんよ。強い決意と高いテンションだけで4時に起きれたら、、、

かっこいいですが。

 

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(イメージ:強い決意と高いテンションで朝4時に起きる)

 

でも年末新年と、友達に会って2つのいいことを聞きました。

一つ目は、「40歳、50歳になってどんな仕事してたいん?」

二つ目は、「夢はなに?」

別々の友達に聞かれました。割と真面目に。

 

一つ目を聞いた彼は、いま技術者でシュミレーションを担当している。

現在の仕事が40歳、50歳になったときに目指している仕事をやるうえで

実際の業務経験がないと他の人がついてこないようで。

彼がいまやっている仕事は将来の仕事とはかけ離れているように思えたけど、そうじゃなかった。

15年、20年後の自分がどうなってたいかしっかり考える機会を

与えてくれた。

 

二つ目を聞いた彼女は、「夢がある?ないなら目標がある?」と聞いてきた。

彼女の夢は大きな家に住んで旦那さんと子供と一緒に住むこと。

キャリアの夢じゃないんだ、とちょっと驚いたし、

自分の夢もそういうところに持っていくことが本当の幸せ

なのかもと考えさせられてしまった。

 

結果、両方の質問に答えれない今の自分、でもジョークでごまかすのも違うし

自分のなかで恥ずかしくも答えられない自分を庇うのは自分のためにならないと

わかっていた。しっかり答えられる自分でありたいと心から思った。

持っていないと、社会の大きな渦に飲まれやすくなってしまう、そんな気がした。

 

そんな友達からのいい質問をうけ、人生がいい流れにいきそうな予感がする中、

実家で愚駄愚駄と布団で幸せをかみ締める自分。心のなかののび太が叫んでいる。

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自分に負けるな自分、油断していると人生終わるぞ。

 

気持ちを新たにしつつ、これほどなく誘惑がある時間。

それが新年。

ゴールに向かってクラウチングスタートの体勢を取っているのそのよこで、

漫画やゲームや焼きたてのステーキや旬なスイーツが山盛りのなか

綺麗な女の子が手招きしている、そんな時間。

 

だからどうした。人生の充実感はどっちがでかいんだか言ってみろ。

抜け目なき現実主義者ならどう行動するか、メタな視点から自分を見て

ずれをなくして行動していこう。

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くまに追いつけ。

 

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【書評】「デザインの骨格」 プロダクトデザイナー山中俊治

技術を漉くデザイン

過去の製品デザインを見て、私たちは技術の進歩を見る。

固定電話から、携帯電話、スマートフォンへと。

もっと歴史をさかのぼると手紙や切手、矢文などもそうかもしれない。

 

技術の進歩を見れるのは、技術者だけのおかげか。

「そうではない。成熟のタイミングを計るデザイナーが、時代を作る技術の

製品化を牽引している」と著者は静かに主張していると思う。

 

多くのデザイナーは、長くひとつの技術を育てる立場ではなく、むしろその成熟のタイミングを見極める立場にあります。常に進歩し続ける技術と人々の欲望の接点は一瞬。完成度の低い技術は見向きもされず、やっと役に立つようになった技術は、その瞬間から陳腐化し始めます。デザイナーはその一瞬を狙って、アイデアを定着させなければなりません。

 

「一瞬を狙って」デザインに落とし込まなければいけない。

デザインを固めるタイミングが、早すぎても遅すぎても、

それは技術者があるいは自分が乗せたかった、

そして世間が望んでいた製品にはならない。

 

ボールがはねる瞬間を捉えてライジングをたたくために、着地点に素早く回り込む。そんなダッシュ力が要求される職業なのかもしれません。私自信はダッシュ苦手なのですが

 

このダッシュ力が、本当に一瞬なのか半年や1年続くのかデザイナーでない僕には

わからないが、固めるタイミングを得て実行にしないと陳腐なものになってしまう。

 

デザイナーには日本酒の杜氏のように、円熟のタイミングを見極めるという

「発見する力」が求められているのでしょう。

 

早すぎず遅すぎずタイミングを制することは、

私の仕事にも通じる肝があり、いままでの仕事のうまくいかなかった理由を

そっと名文で教えてくれる本でした。

 

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熊に追いつく。

 

デザインの骨格

デザインの骨格

 

 

彼女が僕にしてくれたこと、最後に言ってくれたことが心に強く残っている件

彼女は外国で働いていた。

いつか僕がその外国に来ることを夢見て、3000万円の家を買った。

ここ、日本みたいで好きだなと僕がいった、海の近くの静かなアパート。

 

僕はそれでも日本にいた。

 

「あなたは結局日本に居たいんでしょ。」

 

そう言われた。そうじゃないんだけど、そうなんだ。

なんとも歯切れの悪い答えを返して、彼女は続けた。

 

「あなたは、とてもポジティブな人だと思っていたが、そうじゃない。」

 

「Optimisticだけど、Positiveじゃない。小さな幸せ、他人から与えられる幸せだけ

を感謝して、自分で決断して幸せを勝ち取ることのしない臆病者だ。」

 

そう言われた。

 

「あなたをずっと横で見ていてわかったけど、

あなたは目の前に解決すべき問題があるとき、

時間がそれを解決すると思って少しずつ少しずつ

りんごの皮を剥くように、、、待って解決する、」

 

「というより、誰かによって解決されるのを待っている。

私は違う。悩むのでなく、自分で決断して動いて早く解決したい。

そういう人間なの、私は。恋愛小説じゃなく推理小説が好きなの私は。」

 

最後まで君は自分の言葉を強く持って人生に立ち向かっている。

誰も自分の国の先例がいない中で。でも彼女は抜け目なく現実を見ている。

僕は、僕は、安全と安定を重ねた日本にいる。夢を見ている。

 

願いを込めるとき、寺や神社に参拝に行くとき、

彼女への感謝を祈り、彼女のこれからの幸せを願っている。

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くまに追いつく。

 

 

 

そのとき、「機」を得てやることが、人生のなかで3つに入るぐらい重要な件

大学生のころ、「謙虚さ」「楽しむ」「プロ意識」の3つが大切と思って生きてきました。

26歳になって仕事をやってきて、上の3つのどれに成り代わるのかは正直決めかねているけど、「タイミング」が非常に重要であると感じている今日このごろです。

 

恋愛もしかり結婚もしかり、仕事の鮮度もしかり。

 

ひとつ、小さな事件がありました。

紅葉の季節、私の尊敬する外国人弁護士の同僚が退社するという話が決まってから、

自然と我が子を愛する彼は、葉っぱのカードを作って彼の娘にプレゼントすると

いいました。

 

退社する彼に少しでも思い出と感謝の気持ちをと思って、僕は、

会社の前にある桜の葉を、きれいなものを選んで、2枚とりました。

金曜日の夕方にです。

 

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実は、とるのを悩みました。どうせ渡すのは来週になるんだし、来

週月曜日にとればいいじゃない。そう思ったのです。

でも、なんとなく今やるのがいい気がしてました。

 

でもこれがよかった。月曜日には秋風に吹かれて葉が少なくなっていたし、

残っている葉もくすんだ色に変わっていたのです。

 

彼も笑って喜んでいました。愚直にそんなプレゼントをした私を見て、

ぎこちなく少し苦笑していたのかもしれませんが。

 

そんな小さな出来事ですが、なんとなく機を得てやらなければ

意味がない、機を逃すともう1年待たねばやらなくなってしまう。

そういう価値観が自分のなかで生まれました。

 

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熊に追いつくまでだ。今やれることはなんだ。

 

桜 桜の葉 塩漬け Mサイズ 50枚

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金剛山登山から学ぶ人生の件 その2

登山から学んで記録しておきたいことがもうひとつある。

苦労と感動は比例するということ。

金剛山は1100メートル級の山。

 

1ヶ月前には同じような山に登ったのだけど、今回の登山は、

そのときの感動↓には及ばなかった。

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(そのときの感動イメージ)

 

1ヶ月前の山は、初めての一人での登山だった。装備も十分でなく、

雨のなか必死になって登った。寒冷蕁麻疹が出ても、悪天候で足場が悪くって

ひとり「あーしんど」とつぶやきながらも、登った。

山頂に着いて、靄が真っ白にかかっていて何も回りは見れなかったけど、

「おっしゃー」と自然と叫んでしまった。

やればできんだよ俺は!と内面から湧き出る感情から、

人目はばからず(といっても人はいないが)大声を出して感動していた。

 

人から見たら大したことではないと思う。たかが1100メートル級の山だ。

子供でも登れるのだろう、といまであれば思う。でも登っている最中はそんなことを

考える暇もなかった、ただしんどいしんどいと思いながらも一人で登っていった。

ときどき後ろを振り返って、よくここまで登ったもんだと自分を褒めながら登っていった。

 

自分の限界を超えていく。これが強い喜びに感じるのだろう。

たとえ、誰も見ていなくてもその記録が世界に誇るものでなくても。

いままでは、自分は、誰かの注目を浴びなければ幸せを感じない人間である

と思っていた。

 

松下幸之助さんはこういった。

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上には上がいる。

 

それは悲しい現実だし、時に残念に思ったり何で自分にはあの才能が

ないのかって悩みに悩んだりもする。

でも、自分の器は誰にもわからない。本来器の大きさや深さが決まっているものなのか

どうかはわからないけれど、せめて器の大きさまでたどり着く努力をしているか、

それが幸せにつながることであればなおさらだ。

 

自分の限界を超えて何かを達成する、久しくやれていない人はぜひやってほしい。

俺も継続してできるようがんばりますから。

 

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くまに追いつく。

 

人生と仕事について知っておいてほしいこと

人生と仕事について知っておいてほしいこと

 

 

 

イメージ作りのために必要な、嘘と捨象の使い方の件

そうかいそうかい、嘘はいけないのかい。

僕は、子供のころから正直な僕は小さな嘘をつくこと、それに順ずること(たとえば、あえて肝心な情報を言わないこと)にでも罪悪感を感じる子だった。皆さんのうち半分の方はそうじゃないでしょうか?


もう半分は、その場が楽しく、または、相手にわかりやすく伝わればいい、と勇気を持って器用に情報を加工できる方々。


そんな正直派と器用派の2派が対立する構図は、ついつい関心を持ってしまう。


たとえば、以下リンクのように、正直派が事実に基づく分析を通じ、わかりやすく情報を発信しているはずの器用派の主張のほころびを明らかにしている。


「イケダハヤトの収支を分析してみたら、年間所得は推定560万ぐらいだった」なぜ彼は年商を語りたがるのか? - さようなら、憂鬱な木曜日


「ドラマのやましい謎を紐解いて犯人を問い詰める」みたいな爽快感を感じる。

(本件に関しては、元データも十分と言えないなかの推定なのでそもそも「ほころび」と言えるかは疑問だけど…新鮮な切り口からの分析で面白かった!一定の人がそう思ったから記事ランキング上位に食い込んだのでしょう。)

  

2派の対立は逆も然り。


ぐだぐだ説明している正直派に対して、器用派が、要するにこうですね?と要らない情報を捨象して、論点を明確にすることは爽快感がある。橋下元大阪市長のイメージでしょうか。


会社でもこの捨象行為はつくづく身につけるべきスキルだと感じる。

社会人となり、多くの異なる部署や個性をもった人々に説明する際には、ある程度不要な情報を思い切って捨ててしまわないと、

主張したい内容が10のうち1、2割程度しか相手に伝わらない

 

でもそれは嘘じゃない。捨象しているだけだ。

たとえば、漫画でも小説でも主人公は大体一人だ。1シーンごとに一人に焦点を当てて説明がされることが多い。

そのとき、脇役A、B、Cもしくは敵方D、Eの説明をしていたら

大事な一番伝えたい主人公の説明は他の文章に埋もれてしまう。伝えたい肝心なことが伝わらない。印象に残らない。

 

嘘にはならない程度に、自身の伝えたいことを過不足なく切り取る。

この作業にオリジナリティが出るのであろうし、読み手•聴き手を思う、書き手•語り手の想像力がためされているのだと思う。

 

極端な内容にすればするほど、売れる商品になるとは、幻冬舎の社長さんもインタビューで言っていたが、社内でも「売れる」意見となるには、捨象された極端さが必要なのだろう。

 

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くまに追いつき、追い越せ。