【書評】田中角栄の人を惹きつける話し方 明治大学教授 斎藤孝
「人生の意味を問うのでなく、人生そのものを愛すべきだ。」
と小説 カラマーゾフの兄弟で放たれた名言を引き合いに筆者は出した。田中角栄のフェアで一心な、情に溢れた人柄と語り方を描写するためだ。
田中角栄の、情に溢れたキャラクターを、普通の感覚で分析しながら、筆者の思い当たる名言を後追いで散りばめていく。
充ち満ちる「情」がある政治家である、と重ねて田中角栄のエピソードを交える一方で、
-大臣であった際、官僚、大蔵大臣、首相の三方をうまく騙しながらも迅速なる意思決定を進める豪腕さ、先を読み、当意即妙なハッタリをかませることが出来るやり手であること。
-そして、首相着任すぐ、日中国交正常化では、強い親分肌のリーダーシップを取りながらも、交渉の対案を、「大学出が考えろ」と官僚に考えさせるちょっとした冷たさが垣間見えること。
色んな角度から田中角栄像を見ることができる。
田中角栄さんとは同じ時代に生きたことはないが、お弟子さんである石破大臣の、キレと圧のある語り口をさらにさらに魅力的にしたものが田中角栄の語り口であったのだろうと想像する。
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くまに追いつく。2017年。
日中国交正常化とネーミングがすごいと思う。
今までの常識であった日中関係が正常でなかったというわけだから。