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【書評】色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 小説家 村上春樹

色彩を持たない多崎つくると彼の巡礼の年。


このタイトルが小説をこれほどになく要約している。「色彩を持たない」こと、多崎「つくる」という名前。そして、「巡礼の年」。


多くのこと、多崎つくるが感じていること、感じたこと。青春時代の親友グループの完全性、何に価値があるのか自分に価値があるのかその死に触れる虚無感、つくることへの静かなる興味。


多くの要素に共感してしまう。どこか成長や変化に欠けるいまの日本で、自分のやりたいことに疑問を持つこの世代で。


共感した自分につくるは問いかける。


「本当に欲しいものを苦労して手に入れる喜びを味わったことも、思い出せる限り一度もない。」


そして、友人たちは、憎らしく勇気づける。

真っ直ぐに。


「才能のことはよくわからない。でも−自分の作ったものが、他の人たちに何らかのかたちで必要とされているというのは、なかなか素敵なことよ」


「君に欠けているものは何もない。自信と勇気を持ちなさい。君に必要なのはそれだけだよ。怯えやつまらないプライドのために、大事な人を失ったりしちゃいけない」



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くまに追いつく。自分のペースで幸せを噛み締めながら。あと感じたのは、レクサスと二百年の伏線。